(有)二階堂商店

しもたや。

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キョウシャ達の黄昏

さて、調子がいいうちに書いてしまいました。


実はあたし一端の物書きを志向していたことがあるのですが、この程度です。
では以下本編。
分量多目です。





頂点、というものが存在する。
全てを捻じ伏せ、君臨する者のための玉座として。
栄光を纏い、一身に賞賛を浴びる者のための舞台として。
追い落とさんとする者を迎え、それを叩き落すためのリングとして。

その場に立つことが許されるのは常に一人。たった一人のためだけに、その存在はある。



――「キョウシャ達の黄昏」――



試合開始まであと少し。
最後の打ち合わせをする僕たちには、緊張と、少しの自信と、後、よく判らない昂ぶりだけがあった。
「相手は――」
「大丈夫です、マスター」
純白の装備を身に纏った彼女が力強く遮る。
「もう3度目の挑戦です。彼女の事は何でも知ってますよ」
肩ほどの金髪を揺らし、にっこりと笑った。
蒼い瞳はまっすぐにモニターを捉えている。
……これなら、今日なら、今なら。
「あぁ、そうだ。注意しなきゃいけないのはハンマーの一撃、そして……」
「チャンスはそのすぐ後、ですね?」
「そうだ。今度こそ決めてやれ!」
「はい!行ってきますッ!」
くるりと踵を返し、スタンバイブースへ消えて行く彼女。
小さな背中を見送る。
まるで僕自身がリングに上がるかのように緊張して、掌を汗まみれにしながらじっとモニターを睨む。
先にスタンバイしていた対戦相手が上がってくるところだった。
CGで作られた夕焼けをバックに、黒いボディがよく映える。
Sランクのトップ、悪魔型ストラーフのスフィア。今まで何人もの神姫が挑んでは、彼女のロケットハンマーにその夢を粉砕されてきた。
ブルーのツーテールが夕凪に微かになびいて、紅い光を跳ね返した。
『挑戦者、スタンバイ完了。リフトアップ』
その視線の先。
純白の装甲を紅く染めながら、彼女が姿を見せる。
緊張の面持ち。でも、これまでとは違う。
「今日こそあなたを叩き落します!」
「キミも懲りないねぇ。何度やってもボクは負けないよ?」
僕たちはこの時のために、徹底的にやってきた。
彼女と僕の全力を賭けて、この試合のために準備をしてきたんだ。
『バトルシステムをスタートします』
コールと同時に、純白の風が駆け抜ける。
モニター越しに、僕は――



「始まったかね」
薄暗い室内。立ち並ぶ棚には、半ばガラクタのような機械が雑多に積まれ、埃をかぶった物さえある。
窓はなく、辛うじて稼働している換気扇が空気を動かしているに過ぎない。
「開始時間はとうに過ぎています」
錆付いた扉を乱暴に蹴り開けた男に、カウンターの上から彼女がそう答える。
彼女の隣には14型の液晶テレビ。今しがた中継が始まったばかりのタイトル戦。
それを一瞥し、男は猛然と駆け出した。
画面に噛り付き、食い入るように見つめる。
「もちろん録画はしてるんだろうな!」
「抜かりありません」
彼女は手元の携帯端末を操作しながら、事もなく答えるだけ。
端末といってもゲーム機であるが。
「3度目の挑戦だぞ……何か新しい策があるのか、2度あることは3度起こるのか……?」
男の両手が画面を掴み、カウンターごと薙ぎ倒さんばかりに揺さぶる。
「……オーナー、プレイに集中できません」
顔は上げずに、彼女は抗議する。
「あぁ、すまん」
手は離したが、男の目は離れないまま。
画面の向こうでは、息も吐かせぬ攻防が繰り広げられている。
王者が手にするのは大振りのハンマー一本。対する挑戦者は両手に機関銃を構え、発砲しつつ飛び回る。
確かに命中はしているが、ダメージにはなっていないようだ。それどころか、無造作に振るうハンマーが銃弾さえ叩き落してしまう。
判定待ちか……何かの策か。
「どう思う」
男の問いに、彼女はただ一言、さぁ、とだけ答えた。
彼女にとっては手元のゲームが第一なのだ。
「試合時間も残るはわずか、動くぞ……!」
男の手が再び画面を掴んだ。
挑戦者には疲れも見える。距離もじりじりと詰まっている。捕らえられるのは時間の問題。終了まで逃げ切れるか。




「ほらほら、そんなんじゃ効かないよ?」
思っていた通り、遠距離からの攻撃ではちっとも歯が立ちません。
命中はしても、的中はしてない。
このままでは、判定でも勝てそうにはありません。
「焦っちゃダメ、落ち着け私……」
負荷の蓄積も大きく、リミッターが作動しそうになるのをどうにか押さえ込んで移動を続けます。
「疲れてきたみたいだね?足が動いてないよ?」
「そ、そんなことありません!まだまだこれからですよッ!」
徐々に距離が詰まってきます。いえ、少しずつ、相手を誘うように、鼻先を掠めるように、肩口に触れるように、髪を弄ぶように。
何度もハンマーが掠め、そのたびに姿勢を崩されそうになります。
止まったら、スピードを落としたら、私はあの「鎌」に刈り取られてしまう。
「むぅ、やっぱりすばしっこいのは苦手かな。でもッ!」
動いた!
ハンマーを掲げ、まっすぐに私に向かって!
「これで終わりにしてあげるよッ!」
待っていたのはこの一瞬です。私は躊躇うことなく火器を捨てます。
「まだ……まだ……!」
ハンマーが私を打ち落とす瞬間、そう、その瞬間。
「……今!‘エンジェリックスカイ‘!」
「え?!ちょっと!」
振り下ろされるハンマーの頭より内側へ、そして……彼女の後ろへ!
体勢を立て直すより早く反転して、レーザーライフルを構えます。
目標確認、手順8から21をカット、チャージ……62%?これじゃ間にあわな……!
「いっけぇ!」
判断よりは早く、引き金を引いていました。
青白いレーザーが吸い込まれるように彼女の背中へ伸びていきます。
命中、拡散したレーザーの光が視界を塞ぎました。輝度調整も間に合わず、私は彼女を見失ってしまいました。
もし彼女が、回避していたら。
私が見ているものが幻だったら。
レーザーの威力が足りていなかったら。
リミッターが作動し、制限された感覚の中で、次に来る衝撃を待っていました。
それは――とうとう、来なかったのです。









ちょおなげえよ!
読んでくださった方、乙。
nikaidouの | コメント:4 | トラックバック:0 |
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コメント

続きが気になる退き方じゃまいか!(ぁ
ちくしょうやってくれる……。
気になって昼寝ができないじゃないか!(ぇ

しかし、シンプルにストラーフとアーンヴァル(?)の戦い。
そして、戦闘スタイルもそれぞれの特徴(アーンヴァルである保障はどこにもないですが)に沿った装備とスタイルで。
戦闘内容も読みやすく、かといって薄くなく。
個人的にはちょうどよい塩梅で。
伏線も見えるし。
……うん。
続きが気になるじゃまいk(ry
2009-07-08 Wed 23:54 | URL | 東雲 [ 編集 ]
キリのいいところで止めないと言うのは途中で放棄しないためのよい手段なんだそーで。
気になるくらいがちょうどいいとか。

実はバトロンよくわからないので、バトルってこういう感じでいいのかどうか……
イメージにはACのアリーナバトルがありました。

続きがんばるお!
2009-07-10 Fri 10:39 | URL | nikaidou [ 編集 ]
続きが気になりますな…
夫婦そろって、次の話のうpだ!
さあ、ハリー!ハリー!

と嫁子氏宛と同じようなコメをして次回作を期待しております。
2009-07-10 Fri 20:56 | URL | MK−N [ 編集 ]
文章ではなかなか難しそうなバトルの表現もカッコいいですね!
エンジェリックスカイを使って距離を離すのではなく前進し相手の背後に回り込む等の戦法も独特でイイですなぁ
しかしこれまた気になる終わり方で…
続きを楽しみにしてますね♪
2009-07-12 Sun 20:27 | URL | arahabaki [ 編集 ]

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