(有)二階堂商店

しもたや。

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ながいくび(仮)⑤

嫁子が書いた駄文。横書きに不慣れなため、非常に読みにくいです。
読みにくい上につまらないものを見る覚悟のある方のみどうぞ。




そこにいたのは電信柱のような男だった。ただし、上背はあるが圧力はない。タッパはあるが質量はない。それがその男の第一印象で、このイメージが覆ることはその先もなかった。焼きそばを乗せたような癖毛の下の、身体と同じく縦長の顔。店に入ってきたばかりなのか掛けた眼鏡は白く曇っていて、あれではろくに機能を果てせていないのではないだろうか。
くたびれたコートの胸ポケットからナツメ球がのぞいているところを見ると、換えの電球を求めて電気屋にやって来たに違いない。電球は確かにあった二階はずだが、この男の大いなる脱線がどこから始まったかなど彼には知る由もない。
道ですれ違っても気づかない、面と向かって話しても三日後には忘れそうなその顔が彼に話しかけてきた。声にも大して特徴があるわけではない。この声をいつかもう一度聞いて、今ここで話したことを思い出せるだろうか?
その没個性の権化は箱の中身を指差して、「武装」を譲ってくれるなら半額出す、と平板に告げてきた。曰く、この神姫というものは規格に合った武器を用いて武装させることが可能で、さらにしかるべき場所では他の神姫と対戦させることもできるらしい。どうやって動かすのかは知らないが、高機能なラジコンのようなものなのだろうか。
武装だけなど買ってどうするのかとも思ったが、男はすでに”神姫”を所有しており、その追加武装として以前からこの箱の中身に目をつけていたのだと聞くより先に教えてくれた。
透明なブリスターのせいで中空に浮かんでいるように見える少女の下敷きになっているのが「武装」のようだ。右から左へ、横腹を貫くようにパッケージされた蒼い円錐の槍と、足の向こうの細長いチューブのようなもの、彼女の背中を支えるように胸の下に敷かれた、赤い、いくつもの直方体。肢体と胸に取り付けるらしき装甲板は煤けたモノトーンに鈍いイエローのアクセントが入っている。あとはそれらをつなぐための稼動する部品が透明なビニールに包まれてブリスターの最奥に押し込められていた。
どれもこれも、彼の趣味には合わない粘土をこねたような野暮ったい造詣だ。同じ箱に収まっているのというのに、全くもってそれを身に着けるべき少女との釣り合いが取れていない。そもそもこんな高価なものを戦わせるなど、金持ちの道楽にはついていけないと息を吐き捨てる。万札二桁がぶっ壊れても懐が痛まない連中とは遥かにかけ離れた暮らしの彼にはこんなものは無用の長物だ。手放したところで惜しいことなどひとつもない。むしろこれを処分できて支払額が半分になるというのなら盛大に歓迎すべきところだろう。
それでも押し黙っていたのは、男が放つ奇妙なオーラが自分とは住む世界の違う人間だということを明言していたからだった。店員に感じるのとは別の、嫌悪感にも似た心地悪さを感じる。男の話す言葉、口調、表情、仕草、どれをとっても真っ平らでからっぽなのに、なぜかちりちりとうなじの辺りがささくれ立つのだ。今のことを振り返る日があるとして、何を言われたかは忘れていても、この熱帯夜のような重苦しい緊張はきっと脳髄に刻まれてしっかりと再生されることだろう。
店員は何も感じないのか、それともこういう客には慣れっこなのか。もしくは自分が過敏なだけか。
同じように空虚で嫌な空気を撒きちらす、異なる性質の男たちの顔を視線の先端だけで交互にすくい見て、結局は目の高さにあるナツメ球に目を落ち着けた。今はこれぐらいしか彼の現実になじみのある物体がない。
「……どうする?」
見下ろしてくるのは視線だけで、武装が必要だというなら引き下がると付け加える口調もあくまで丁寧だ。
利害は一致しているのだし、これ以降深い付き合いをするわけでもないのだから別にいいだろう。うなじの違和感をねじ伏せるようにしてそう納得し、不快感を脇によけながら「お願いします」と頭を下げた。
連なってレジへ向かい、清算を済ませる。男がクレジットカードで払いたいというので、いったん支払いは任せておいて、商品を分けるときに半額渡すことにした。白いレジ袋の中に収められたあの箱がカウンターの上に置かれ、男がそれを手に取りすぐに彼に差し出す。行動は不快どころか紳士的だ。生理的に受け付けないのは少しもったいないと思いながら袋を受け取った。天面の白地に琥珀色で描かれた図案が、白いビニールの影から彼に微笑みかけている。
手を結んで得をしたのは本人たちだけではなかったようだ。去り際に目に入った店員の顔、そこに張り付いたままの印象の悪い笑顔からも引きつりだけは解消されていた。


嫁子の | コメント:3 | トラックバック:0 |
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コメント

ヲタク縦的な外見だということは覚えれそうですが。
いや、中身は紳士なようですが。

しかし、何よりも一人称のこの彼(主人公?)の人間臭さが面白く。
確かに、第一印象からぬぐえない嫌悪感などは存在しますし。
そのあたりも感じやすく描かれていてよいですな。

しかし、回想とはいえようやく入手できたということは……。
次は……っ!(ぉ
うん!(ぇ
楽しみにて待つ!(ぁ
2009-08-18 Tue 12:59 | URL | 東雲 [ 編集 ]
うーん、外見はそれほどオタク系なイメージではなかったのですが……文章力が足りませんね。精進します!

今回ようやくヤシュ以外の神姫を出せました。
やっとこさ神姫読み物らしく……なってないなぁ。
つ、次こそは……ッ!!
2009-08-19 Wed 22:47 | URL | 嫁子 [ 編集 ]
なるほどこれだけ高価なものですし既に神姫さんを所有しているオーナーさんだったら
フルセット購入しなくとも武装だけ欲しい場合もありますよね。
まさに主人公さんにとっては一石二鳥ですなー
うちにも使ってない武装とか多々あるのでデジタルの方でも武装の譲渡とか出来ればいいのに(゚¬゚;
2009-08-21 Fri 03:40 | URL | arahabaki [ 編集 ]

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