(有)二階堂商店

しもたや。

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ながいくび(仮)⑥

嫁子が書いた駄文。横書きに不慣れなため、非常に読みにくいです。
読みにくい上につまらないものを見る覚悟のある方のみどうぞ。



「さて、“お宝は山分け”だけど、どこかに腰を落ち着けたほうがいいねぇ」
自動ドアをくぐった瞬間に服の中にまで吹き込む冷気に震え、ポケットに手を突っ込む。長身の男は街灯の仲間かのように歩道の端にじっと立って、向かいの建物の看板を見あげている。白いもやと一緒に声がふわりと上って消えていく、聞かせるつもりの独り言のような台詞。男は手にした鞄の持ち手を握りなおして振り向いた。蒼い街灯の明かりでその顔が血の気のない色に映って見える。
「パーツとかなくすとコトだし。カラオケボックスとかでいいかな?」
紫に染まった唇から紡がれる言葉は、きっと彼の答えなど待っていない。形式上の問いに形式上で同意して、あとはよれよれのトレンチコートについていくだけだ。
田舎の母の「東京は怖いから……」というステレオタイプな文句と八の字に下がった眉が北風と一緒に耳の中を横切っていく。もしこの先に何か――よくないことが待っていたとして、それはそれだ。廃れかけのマルチだろうが腐りきったカルトだろうが鬱陶しいことに変わりはないが、それでもただ帰宅し「退屈」と暮らす日々に変化が訪れると思えば悪くはない。
『ただ迷惑なだけのと、本当にヤバイのとはどうやって見分けるか知ってる?』
脳内で再生された得意げな退屈の住人の声にかき消され、母の幻影が千切れて飛んでゆく。

当然なのだろうが、男の足は迷いなく進む。自分はためらわないその靴だけを見失わぬように視線を下げ、黙って連行されていくのだ。歯の根がカチカチと音を立て、白いビニール袋が足に触れるたびに囁き存在を主張していた。焼きそば頭は振り返らない。
このままこの箱を持って、ふらりと消えたらどうなるだろう。
思いついただけで実行する気はさらさらなかったが、その先を想像し終わるまでに目的地に到着してしまった。口を挟む間もなく男がカウンターでペンを走らせ身分証明書を見せている。使いもしないマイクを受け取ると、廊下よりも一段暗く閉塞感のある室内へ押し込まれた。前にここにいた人間の熱気が残った空間にあるのはカラオケセットと小さな机、大人三人が座れるか座れないかのソファだけ。男は律儀にも自分の荷物を床に置いた。
「君、神姫は初めて?」
友好を示そうとしているのはわかっているが、やはりその何かが抜けたような笑顔には作り笑いすら返せそうにない。荷物を降ろして顔をそらしながら短く肯定する。
「じゃあ、よかったらここで起動するかい?もちろん嫌ならいいけど、解らないこととか訊いてくれればある程度力になれると思うし」
「起動?」
持ち上げた視線がまともに相手とぶつかって、あわてて男の胸ポケットへと目を向けた。不自然だろうが、咳をして視線の移動に理由をつける。そういえば先ほど対戦がどうのとか言っていたから、そのためには初めにセットアップをする必要があるのだろう。浅い吐息といっしょに造形が気に入っただけで対戦には興味がない、という文字列が出かけ、声にならずに喉笛に引っかかった。
ポケットから覗くナツメ球が動いている。
見間違いかと目を凝らしたが、確かに動いているのだ。何度か上下し細かく左右に振れたあと、半周近く回転して切り欠きのような部分が見えたと思った瞬間、それはほんとうに「顔」を覗かせた。
「ちぇ、やっと俺にもパシリができると思ったのによ」
変声前の少年のようなその声は、ナツメ球から聞こえてくるようにしか思えない。いや、ナツメ球のような、ちいさな白いおかっぱの頭部から、だ。言葉を話すナツメ球、ではない。脳が空回りしている彼を尻目に、男は苦笑しながら人差し指を横にしてその頭部の前に差し出した。
「パシリだって?妹ができたらあれもこれも貸してあげるつもりで準備してたくせに」
「うっせ、黙れこの×××××ヤローが!なんで知ってんだ!」
ポケットの中から突き出された黒い棒が男の指に垂直に何度もぶつかり、そのたびに男は笑いながら「痛い痛い」を繰り返す。あっけにとられる彼の耳に届くほどの不機嫌なため息のあと、先ほどまでサンドバックにしていた指先に腕を伸ばして「それ」はポケットからずるずると這い出してきた。ナツメ球を乗せたモノトーンの身体は片手でつかめるほどの大きさしかなく、先ほど切り欠きに見えたのは前髪に入った赤いメッシュだった。その下の顔には目、鼻、口など人体と同じパーツがそれとは比べ物にならないサイズで収まっている。
「ンだよ、なんか用か」
彼の目を睨み返して男の手のひらに降り立つ人型の「それ」は確かに動いていた。カラオケボックスの薄暗い闇の中でも、はっきりとわかるほど。
「……ホントに初めてなんだね。見たこともなかった?」
その声で呪縛が解けて、ようやく視線が外れた。それでも見開いたまま閉じられない瞳で見上げると、男は慈母のように微笑んで手のひらの上のものを彼の視線の先に持ってきた。大きくなった白と黒で男の顔が塗りつぶされる。
「これが、“武装神姫”だよ。」
そう紹介された凶悪な目つきの“少女”は、ひらひらと真っ白な手のひらを振って気のない挨拶をした。
嫁子の | コメント:3 | トラックバック:0 |
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コメント

以前の宣言通りに、お目見えしてくれましたなっ!(ぉ
彼がマスターだったとは予想外でしたが……。
とりあえず、ロッカさんらしさに色々と納得です(ぁ
よきかなヤンデレ……(ヤンキーがデレる意味で)
しかし、相変わらず主人公(?)の視点からの表現が独特で面白いですな。
表現の仕方が、本当にそれ自体を知らない者の見方に感じられるので。
今後、この表現にも変化が起こっていくかとかも、ちょっと楽しみですな。

とりあえず、まぁ……ロッカさんが気になるのは親心(ぁ
2009-10-15 Thu 10:24 | URL | 東雲 [ 編集 ]
主人公の方は若干疑っている感がありますが
彼はなんか普通にいい人ですな(゚¬゚;

それにしてもまさかのロッカさんが!
となると彼はかなり特殊な神姫さんのオーナーなのでしょうか?(東雲さんの方のSSはまだ途中まで追いかけている状況なので詳しい事は分かりませんが(゚¬゚;
2009-10-16 Fri 21:54 | URL | arahabaki [ 編集 ]
≫東雲さま
ようやく神姫が動いて喋って、それっぽくなってきたような感じです。ここに来るまでが長いよ!
この後はロッカさんが仕切ってくれるからもうすこしテンポ良く話が進む……といいなぁ。


≫arahabaki さま
本家の設定ではたしか白魔型の量産モデルはイベント等で少数ながら一般販売されたようなので、白魔型のオーナーになるのは特殊なケースのみというわけではないようです。
まぁ、面接とかあれこれ経て開発局の方から認められないといけないそうなので、運と(多分キャッキャウフフの)素質は必要なのでしょうが……
2009-10-17 Sat 23:02 | URL | 嫁子 [ 編集 ]

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